プロコーチとしてクライアントにリードする頻度が高いガイディングのひとつに、
以下のようなフレーズがある。
「とにかく自分に対して強制的でいいので、目標(アウトカム)を定めてみません?」
このガイドがすべての人に効果的ではないことは言うまでもないが、我々がこのフレーズを投げかけたクライアントにとっては極めて重要な方向示唆になることが多い。
「自分自身の目標というものが、今もって、見つからない…」
という言葉をため息交じりに使う人が居る。目標不在の人たち。もしかしたら、あなたもそうですか?ま、少なくない、「目標がない!」という人は。
プロとしてセッションでは、そう訴える人の状況や気持ちは、理解し、心を汲む。しかしながら、この言葉を使うクライアントを注意深く観察し丁寧に質問していくと大抵「これだ!という目標さえあればね?私は出来る人間なんです。目標さえあれば。。」という想いや態度が見え隠れしていることに気がつく。
これ、どういう現象なのか。無意識論(Self2)的視点で捉えることができる”あること”とは一体なんだろうか。それは「目標がない」という表現と態度が、「逃げの口実。逃避の為のちょうど良い落としどころ。」であるということだろう。
満足いかない現状をもたらしているのは自分の才能や行動ではなく、「定まらない目標」である、と捉えらたなら、自分の負けや怠け癖、さぼり癖から、自分自身の注意を背けることができる。自分はやればできる人間、だけど、この能力をどこに向けて使えばいいか、それが見えない、解らない。だから、現状はとても悪い(あるいは良くない)んだと、と自分に対して(時には誰かに)表現できるうちは、自分自身の”誇り”を守ることが出来ている。これは盲点なのだ。
「上司が俺をうまく活かしきれていない」と言ったことはあるだろうか。「主人が私の才能を開花させないでいる」と考えたことは?「今の職場では、自分らしさを発揮できないんだ!」はどうだろうか。
そんな彼らに「それなら、上司や主人や職場を変えるために、どんなアイディアがあって、何を実行してる?」と聴けば大抵言葉に詰まる。そう、そんなこと具体的に考えちゃいないから。
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苦言のように聞こえるかもしれないが、目標不在もこれと同じように使ってる。つまり不満足な現状を納得するための”もっともらしい言い訳”としてね。つまり、「では、目標を持つために、どんなことを試みてますか?」と聴いても、苦し紛れの回答である場合が多い。(本人も苦し紛れだと気づかない場合もある)(ちなみに、もし苦言に聞こえるなら、あなたは正にこの状況かも知れません)
でも現状はね?本人が考えたこと、決めたこと、動いたことによってつくられているんです。どんな場合も。現状をつくったのは、紛れも無く本人自身でしょ。(あなた自身)
目標がないのは、単に、
“目標を決めていない”以外に理由などない。
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目標というものが、道を歩いてたらどこからか降って来ると想っているのかな?
それとも湧いて来るとか?ピカっと光っていきなり目の前に現れるとか??確かにそういうことを表現する人がいることは知っている。
「あるとき、私の進む方向がパッと見えたんです。。」
「夢を見たんです。で、やるべきことがわかったんです!」
まぁ、このように“天からの啓示” 的に “捉えたい人たち” は存在する。ただ、そういうことを “言いたい” あるいは “言う必要のある” 人たちが言ってることを真に受け止め過ぎない方がいい。本人たちはどこかのタイミングでそう “思い込む” 様になったのだろうが、それはほとんどの場合 “後付け” の理屈なんだけどねw。
我々プロは確信しているわけです。現在の(100年前や100年後でなく、正に今の)世の中で物心ともに充実した幸福感を手に入れるために「目標」を持つということが必要であることを。だから、
クライアントの状態や心的状況をちゃんとケアしながら、指示的でなく超自然的に、、
「とにかく自分に対して強制的でいいので、目標を定めてみません?」
というリード(導き)を大切にしているわけだ。この関わりから人生を大きく “動かしはじめる” 人が続々と現れている。実際に。