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  1. unohiromi
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AIに答えを聞く前に、自分で読む時間を残そう。

長い文章を見た瞬間に、「要するに何?」と聞きたくなる。

AIに渡せば、数行にまとめてくれる。難しい言葉も説明してくれる。忙しい日には、ずいぶん助かる。

ただ、その数行を読んだあとで、画面を閉じてみる。

何が書かれていたか。なぜそう言えるのか。自分はどこに納得して、どこに疑問が残ったのか。

それを話そうとすると、言葉が出てこないことはないだろうか。

情報を受け取ったことと、自分で説明できるようになったことには、間がある。

15歳の調査で、何が起きていたのか

OECD(経済協力開発機構)が2026年9月8日に公表したPISA 2025の結果が、このことを考えるきっかけになった。PISAは、15歳の生徒が、読んだことや学んだことを問題にどう使えるかを見る国際調査だ。今回は91か国・地域から約76万人が参加した。

OECD平均では、2015年から2025年に読解力が28点、数学が22点低下した。読解力とは、文字を読めるだけでなく、文章の意味をつかみ、必要な情報を選び、書かれていることを確かめる力だ。ここでいう「点」はPISAの得点で、100点満点の学校のテストとは違う。

読解・数学・科学の三分野すべてで基礎水準に届かない生徒の割合も、2022年の16%から20%へ増えた。基礎水準とは、学習や生活に必要な土台として、この調査が定めている目安である。生徒の価値や将来を決める線ではない。以上はOECD全体の平均で、日本だけの変化を示しているわけでもない。出典:OECD報告書・序文

「性急な読者」を、日常の言葉にすると

今回、私が気になったのは「性急な読者」という分類だ。平たく言えば、短い時間で答えているけれど、答えは間違っている人である。

35のOECD加盟国の平均では、この割合が2018年の6.6%から2025年の11.4%へ増えた。ほぼ倍増という説明もされているが、数字で見ると約1.7倍だ。これはテストでの答え方の分類であり、「せっかちな性格」と診断したものではない。出典:読解テストの変化を調べた分析

身近な場面に置き換えてみよう。案内文に「原則として予約が必要。ただし、午後は予約なしでも受け付ける」と書いてある。最初の一文だけを見て「予約しないと入れない」と決めれば、後半の大事な条件を落とす。

読んだつもりでも、「ただし」まで待てていない。

速く読むこと自体が悪いのではない。必要なところで立ち止まり、前の文に戻れるか。分かったつもりになったあとで、もう一度確かめられるか。その動きが気になる。

「AIを使うと成績が下がる」とは、まだ言えない

報告書では、学校でデジタル機器を学習に適度に使う生徒は、科学の成績が高い傾向にあった。一方、使いすぎや、機器に気を取られることは、低い成績と結びついていた。AIで読む課題を要約するなどの使い方でも、使わない生徒のほうが高得点という傾向が見られた。ただし、使う頻度や目的によって関係は違っていた。

ここでいう「関連がある」は、二つのことが一緒に見られたという意味だ。「片方が、もう片方の原因だ」と分かったわけではない。

たとえば、もともと読むことに困っている生徒ほど、AIの助けを求めている可能性もある。AIの使い方、授業の進め方、学習環境も関わりうる。報告書も、AI利用の悪影響をそのまま意味するものではないと説明している。出典:デジタル機器・AI利用と学校生活の分析

この調査だけで「AIが子どもの考える力を奪った」と結論するなら、私たち自身も、答えを急ぎすぎている。

分からないところに、少しとどまれるか

ここからは調査結果そのものではなく、私の考えだ。

AI時代に気をつけたいのは、知っていることの数だけではなく、分からない文章からすぐに離れず、考え続ける時間が減ることかもしれない。

「認知的な格闘」と言うと難しいが、日常の言葉なら、「あれ、どういうことだろう」と立ち止まることだ。前の段落を読み直す。自分の経験と比べる。別の資料を開く。それでも分からない部分を、疑問として残す。

こうした手間をすべてAIに渡すと、自分で試す場面も減ってしまうのではないか。これは、PISAが直接証明した結論ではなく、学び方を考えるうえでの問いである。

私が「意識進化」と結びつけて考えたいのも、ここだ。難しい言葉で飾るなら意味がない。「最初に思った答えを、読み直したあとで変えられるようになる」と言えば、日々の練習になる。

自分で読む。AIに聞く。自分に戻す。

1UNO塾や日々の学習では、次の順番を試してみたい。「人間→AI→人間」という往復だ。これはPISAで効果が確かめられた方法ではなく、学びを自分の手元に残すための提案である。

1.最初の10分は、自分で読む

AIに要約を頼む前に、元の文章を読む。分からない言葉に印をつける。読み切れなくてもいい。「どこまでは分かったか」を見つける。

10分は、科学的に決まった最適な時間ではない。始めるための目安だ。負担が大きければ、一段落からでもいい。読み上げや言葉の説明など、読むための補助も使ってよい。

2.自分の言葉で、要点と疑問を書く

「この文章が言いたいことは何か」を二、三行で書く。次に、「でも、ここが分からない」を一つ書く。

「要約」とは、要するに、大事な部分を自分で選んで短く言い直すことだ。元の文章の短い一節を、そのまま写すだけで終わらせない。

3.AIには、見落としを探してもらう

たとえば、こう頼む。

元の文章と私の要約を比べてください。読み落とした条件、言い切りすぎた部分、別の読み方を挙げてください。根拠になる箇所も示してください。

「反論」は、いじめることではない。「そうとは限らない理由」を探すことだ。「別解」は、ほかの考え方や答え方である。

AIの指摘にも間違いはありうる。示された箇所を元の文章で確かめ、納得できるかを自分で判断する。

4.画面を閉じて、もう一度説明する

最後に、何が分かったか、最初の考えがどこで変わったか、まだ何が分からないかを話すか書く。

「再構成する」とは、見た言葉をそのまま再生することではなく、自分の言葉で組み立て直すことだ。うまく説明できない場所があれば、そこだけ読み直す。できなかった自分を責めるためではなく、次に読む場所を見つけるために行う。

速い答えのあとに、自分の考えは残っているか

仕事の連絡を手早く確認したい日もある。文章全体の見取り図を先にもらったほうが、読みやすい場合もある。毎回すべてを時間をかけて読む必要はない。

ただ、「このことは自分で考えられるようになりたい」と思う場面では、自分で読む時間を残しておきたい。

今日の咒術。ここでは、自分の注意を戻す短い言葉として。

速く答える前に、この情報と十分に出会ったか。

もう少し普段の言い方をするなら、「答えを見る前に、何が書いてあるか、自分で確かめた?」。

君が今日AIに聞こうとしていることのうち、まず一段落だけでも、自分で読んで考えてみたいものは何だろうか。


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資料:OECD『PISA 2025 Results(Volume I)』(2026年9月8日公表)。15歳を対象とした大規模な国際評価です。AIの利用を無作為に割り当てた実験ではなく、この記事で提案した四つの手順の効果を検証した研究でもありません。

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